【報告】2025年度第2回 TGLグローバルリーダー認定証授与式
グローバルリーダー認定者代表挨拶
工学部4年 浅野 菜乃夏さん
本日は、グローバルリーダー認定という栄誉ある機会をいただき、大変光栄に存じます。また、私たちのためにこのような場を設けていただいたこと、認定者を代表して御礼申し上げます。 この認定は、決して私たちだけの力でいただいたものではありません。冨永総長をはじめ、日々温かくご指導くださった先生方、TGL という道を切り拓いてくださった先の認定者のみなさんの存在があってこそ、今日の私たちがあります。そして、共に学び合ってきた仲間たちの存在が、挑戦し続ける勇気を与えてくれました。この場をお借りして、心より感謝申し上げます。
私がこのプログラムを通じて得た最大の気づき、それは「架け橋になること」の本当の意味でした。それは私が工学部を目指した理由にも深く関わっています。きっかけは、一つの「文字」への共感でした。工学の「工(こう)」という漢字です。ある先生が、このように教えてくださいました。「上の横棒は理学の理、つまり『理(ことわり)』の世界、下の横棒は人々の『実生活』。その二つを真ん中の縦棒、つまり『技術』を架け橋としてつなぐのが工学である」と。私はこの言葉に強く惹かれました。技術と実生活をつなぎ、人々の暮らしを豊かにする人材になりたいと憧れ、この道を選びました。
しかし、TGL プログラムでの学びは、架け橋になるには、技術だけでは不十分だという事実を私に突きつけました。グローバルゼミで留学生を交えて将来の理想について話したとき、私は「技術で世界を豊かにしたい」という思いを伝えました。すると、ある留学生からこう問われました。「背景が異なる国々に技術を導入するための法整備や、経済格差についてはどう考えているのか?」と。技術以外のアプローチについて、私は何も答えることができませんでした。自分にとって正しいことであっても、受け手となる人々の文化や社会背景、そして痛みを理解していなければ、その正しさは幻想にすぎません。相手の土壌を知り、共感する力が不可欠なのだと、このとき初めて実感しました。
プログラムでは、こうした「背景の違い」を理解する機会が数多くありました。多文化学習では、留学生に加え、海外からオンライン参加する学生とも交流し、互いの文化を発信し合いました。文化的背景の違いは、日常の些細な考え方の違いにも深く根付いています。時に、自分の考えの枠組みから抜け出すことには困難もありました。しかし、対話を重ねることで共感が生まれ、属性の垣根を超えて理解し合えるという実感は、今の私を支える大きな糧となっています。そして学んだのは、私が目指すべき架け橋は、完成した技術を一方的に渡すことではないということです。人々の声に耳を傾け、その痛みや願いに寄り添いながら、ともに形づくられていく、血の通った架け橋であるべきだと気づきました。
この学びは、現在の研究活動にも活きています。 私は今、研究室で化粧品の素材となる材料についてミクロ視点から研究をしています。肉眼では見えないミクロな分野であっても、私は常にその先にいる人を想像するようになりました。例えば、肌に悩みを抱え、自信を持ちたいと願っている人。その人の生活や気持ちをいつか支えられる日が来るだろうか、と考えながら研究に向き合っています。予想に反した結果が出て落ち込むこともあります。それでも、「誰かの心を支えたい」という明確なイメージが、私の原動力になっています。
一方で、社会というマクロな場へ目を向けたとき、感じるのは属性や専門性の垣根を越えた協力の不可欠さです。かつての私は、リーダーとは先頭に立って正解を示す「強い縦棒」だと思っていました。しかし、今の考えは違います。自分ひとりで解決できることには限界があります。私は法律の専門知識も、経済の深い知見も持っていません。技術分野でさえ、一人がカバーできる範囲は非常に狭く、他分野の協力がなければ立ち行かないと思います。だからこそ、それらを持つ仲間を見つけ、協力してもらう必要があります。 そのためには、まず自分が等身大の自分を見せ、相手を知る努力を続けること。 立ち上がろうとする人を励まし、支えること。そうやって周囲の力を集めることで初めて、私たちは理想と現実をつなぐ、太くしなやかな架け橋になれるのだと、私は確信しています。
私たちはこれからも、それぞれの分野で理想と現実の間をつなぐ役割を担っていくでしょう。そのとき、TGL で培った共感する力と多角的な視点は、必ず私たちを支える大きな力になります。正解のない問いに対して、一人ではなく、多くの仲間と共に挑み続ける。そんなグローバルリーダーでありたいと思います。
最後に、これから世界へ羽ばたく仲間へ、そして私自身へのメッセージとして、前に進むために大切にしている二つの心構えを英語でお話しし、ご挨拶とさせていただきます。
To ease your journey as you move forward, I would like to share two mindsets that I hold dear.
First, cherish your simple curiosity.
You don’t need a grand purpose like “changing the world” from the very beginning.
I started my journey driven purely by personal interest, and along the way, I learned that pursuing what truly matters to you can eventually contribute to others.
Please remember that your courage to take on your challenge is, in itself, a great inspiration to us all.
Second, do not be afraid to pause.
The journey to becoming a Global Leader is demanding, and there were moments when I felt overwhelmed and had to stop. Yet I realized that pausing is not retreating. It is a vital opportunity to reflect on your strengths and redefine your vision. It was in those quiet moments that I truly found my direction.
I hope each of you will discover your own unique goals and the paths that lead you toward them. I wish you all the very best in your future endeavors.
Thank you.


