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東北大学グローバルラーニングセンター GLOBAL LEARNING CENTER, TOHOKU UNIVERSITY

海外留学体験談 【COLABS】

COLABSの体験談をご紹介します。


  • #3_2018年12月、2019年8月、2020年2月-3月 台湾・中央研究院 地球科学研究所 理学研究科 掛札真由さん
  • #2_2019年9月-2019年11月 米国・アラバマ大学 生命科学研究科 佐野勲さん
  • #1_2018年9月-2019年8月 ベルギー・ブリュッセル自由大学 工学研究科 谷越楓さん



    #03



    コミュニティ、そして国を越えた研究活動は、忘れかけていた熱情や新鮮さを取り戻させ、人生の視野を鮮明に広げてくれました。
    掛札 真由さん 理学部4年、理学研究科 博士前期課程1年(プログラム参加時)  

    派遣機関: 台湾・中央研究院 地球科学研究所
    留学期間: 2018年12月、2019年8月、2020年2月-3月


     COLABS応募当初からの留学目的に、自身の研究を世界トップレベルの研究機関で行い、世界で通用する研究能力を身につけたいという思いがありました。しかしながら、日常を逸脱した環境で研究活動をすることは、自身の世界が広がり、研究のみならず将来への熱意や目的を考える良い機会になりました。
     私が留学した中央研究院は、台湾における最高峰の国家研究機関であり、最先端のあらゆる分析機器と世界の最前線で活躍する研究者たちが集う場所です。中央研究院を構成する諸研究所の構成員のほとんどは博士研究員(PD)以上であり、学生がその多くを占める大学とは環境が大きく異なります。そのため、研究遂行を第一目的とした、研究に没頭するための留学には非常にうってつけの環境であり、毎日の朝から晩までの分析と日常的な議論を通じて、短期間で驚くほどの研究成果を得ることができました。
     そんなほぼ毎日が宿舎から研究所の往復の生活の中でも、普段暮らしている環境とは別世界で生活をするということは驚くほどのチャレンジと新鮮味に溢れていて、あらゆる「未体験」に囲まれることで視野が広く鮮明になると同時に、雑念が取り払われ将来の目的が明確になるような感覚を覚え、学年を追うごとに閉鎖的になっていく環境で過ごすことにより失われた熱情を取り戻すことができたように感じます。台湾への留学で得られたあらゆる経験を糧に、世界で活躍できる人材になりたいと思います。



    #02





    米国留学は、世界的視野で課題を発見し解決する力を養うための絶好の機会でした。
    佐野 勲さん 生命科学研究科 博士後期課程2年(プログラム参加時)  

    派遣大学: 米国・アラバマ大学
    留学期間: 2019年9月~2019年11月


    米国留学は、グローバルな舞台で研究能力を養うための良い機会でした。
     私が留学を決意した理由は、生物の多様化メカニズムの普遍性を明らかにしたいと考えたためです。私は淡水貝類をモデルとし研究活動を進めていました。そして、これまでの研究から、東アジアの淡水貝類は、湖水環境(湖や沼など)と流水環境(河川など)への適応により、多様化を遂げていることを明らかにしました。そこで、東アジア以外においても、同様のメカニズムが多様化を駆動しているという仮説を検証したいと考え、北米大陸アラバマ州への留学を決意しました。アラバマ州は、米国の南部に位置し、淡水貝類の多様性が世界で最も高い場所の一つとして知られています。米国の研究者の賛同をいただき、東北大学のCOLABSに採用されました。
     渡米後、北米大陸産サンプルについて形態的に、また遺伝的に解析しました。その結果、北米大陸でも湖水環境と流水環境では殻形態が異なっており、さらに湖水型・流水型はそれぞれ遺伝的にも区別可能であることを明らかにしました。すなわち北米大陸においても、湖水環境および流水環境への適応が淡水貝類の多様化を促しているという、東アジアと同様の多様化メカニズムの存在が示唆されました。
     留学先では、研究目的の達成のためには、予期せぬトラブルに遭遇した場合でも臨機応変に対応することが重要であると学びました。渡米前の研究計画では、アラバマ州南部に位置する小さな水系で調査を行う予定でした。しかし、調査地を訪れ、現地の研究者と話したところ、調査地の淡水貝類は希少種が多く、その多くが法的に保護され、大学のラボに持ち帰ることが許されないとわかりました。そこで、法的に保護された貝は、写真の撮影や一部軟体部の切り取りなど、必要最小限のデータ収集にとどめて現地に放流することにしました。さらに、受入教員の友人の研究者にアラバマ州北部の大きな水系も案内してもらうことにより、従来の計画通りに豊富なデータを集めることに成功しました。
     私は、米国での研究活動を経験して、世界的視野で課題を発見し解決する力を養うことができました。留学では、新しい環境での実験・調査や考え方の違い、異なる言語など様々な困難に出会いましたが、それらの困難を自らの工夫と現地の人の助けによって乗り越えることができました。そして、留学を終えたのち、留学先で得られた研究成果を受入先の教員や友人が喜んでくれて、自らの成長を実感できました。今後は、米国で養った研究能力を活かして、世界の第一線で活躍したいと思います。



    #01



    日本人としての自分を深く、多角的に見つめ直すことができたこの期間を、一概に言い表すことはできません。
    谷越楓さん 工学研究科 博士前期課程1年(プログラム参加時) 

    派遣大学: ブリュッセル自由大学(ベルギー)
    留学期間: 2018年9月~2019年8月


    カルチャーショックを感じないほどの別世界で一人、生活を築くということ。
     留学に応募した目的はもちろん建築をより深く学びたい、日本ではできない経験をしたいという思いからでした。しかし結論からいうと、毎日同じ景色、同じ人に囲まれて安定していた大学生活の中で、気づかぬ間に失われていた自信や熱意を取り戻すことができたということが、この留学における一番の成果だったと感じています。
     私の研究分野は建築デザインであるため、歴史あるヨーロッパで実際に学ぶことができたのは大変貴重な機会でした。日本人とは違う表現感覚を持つ人々に囲まれることは刺激的で、設計手法はもちろんプレゼンの仕方や模型の作り方、教授との距離感など日本とは全く違う環境での生活は確実に私自身の考え方に影響を与えました。ただ、勉学を通じて成果を得ることは留学の前提であり、それ以上に生活の面で得られた新たな価値観にこそ留学の醍醐味があるように思います。
     私は自分で家探しをし、女の子8人でシェアハウスをしていました。学校の友達も含めてみんな仲が良く、締め切り間近で切羽詰まっているとクッキーを焼いて持ってきてくれたり、夜みんなで街に繰り出したり、晴れた日には公園や家のバルコニーでピクニックしたりと家族のように生活していました。このような日本とは全く違う価値観の生活は、どちらがいいとか悪いとかではなく、まるで別世界にいるような感覚にしてくれました。つまりカルチャーショックを感じず、別視点から自分のこれまでとこれからの生活を見つめる時間になったということです。日本にいるだけでは絶対に見ることのできなかった新たな一面がそこにはあり、自信が得られたと共に、良くも悪くも単調になっていた生活から抜け出してチャレンジする勇気を与えてくれました。