特集 2010年度活動から

2010年度開始のプログラム:
International Program in Liberal Arts(IPLA)

大学院経済学研究科 准教授 末松 和子

 東北大学の交換留学プログラムは、1996年より始まりました。しかし、これまでは主に理系を中心としたプログラムで、文系分野のプログラムは多方面から要望があったものの実現していませんでした。転機が訪れたのは、2009年です。この年、東北大学は文部科学省によるプロジェクト、グローバル30に採択されました。採択された13の大学を中心に、日本の大学の国際化を一層推進するためのプロジェクトです。グローバル化が進む現在において、海外の目からも魅力的に映る大学づくりをし、より多くの留学生を獲得することが、大きな目的のひとつとなっています。
 そのグローバル30事業の一環として、本学は2010年10月より、待望の人文・社会科学を中心とした交換留学プログラムを開講することとなりました。それが、東北大学社会・人文科学短期留学生受入プログラム Tohoku University International Program in Liberal Arts(通称:IPLA)です。
 IPLAプログラムは、経済・経営・文学・教育の幅広い人文社会系領域を切り口として、参加者が日本に対する知識を深め、本学への留学に関心を持つきっかけとなるようなジャパノロジーコースです。日本という国を知るための導入的な内容から、日本およびアジアの発展を支えてきた高度な専門教育まで、学習者の関心に合わせた幅広い教育を提供しています。日本語・日本文化教育、ゼミナール形式の少人数制参加型授業、個別学習(Independent Study)、日本人学生との共修・協働による知的交流などを融合させ、それぞれの学習活動の相乗効果が成果に結びつくような多角的・多層的なプログラムを展開しています。日本に特化した文系領域の専門知識習得と日本語・文化研修は、大学院などの本格的な日本留学のステッピング・ストーンとなるでしょう。将来的には、日本の社会で活躍しうる高度人材の育成につなげることを目指しています。
 IPLAプログラムの受入人数は、1年間20名程度を想定しています。原則として、所属する母校において2年次以上に在籍している必要があります。単位認定は、日本語で行われる同等の講義の基準で認定し、プログラム生はそれらの単位を母校でそれぞれの大学の規定に従い互換することが可能です。プログラム終了時に、要件を満たしたプログラム生には、修了証を授与します。
 2010年10月より受け入れた第一期生は、8つの国・地域(韓国・中国・台湾・インドネシア・タイ・ベトナム・イタリア・ロシア)から来日した19名で、経済学部、教育学部、文学部に所属しています。彼らは、授業や日常生活を通して、積極的に日本語・日本文化や社会について学んでいます。IPLAの授業は英語で行われますが、日本語・日本文化を必修としています。日本語は、初学者から上級者まで、個人のレベルにあったクラスで学ぶことが出来ます。日本文化は座学だけではなく、課外授業も行うのが特徴です。陶芸や茶道を体験し、直接日本の文化に触れることが出来ると、受講生に人気があります。
 また、各々の興味のある分野を、指導教員より掘り下げて学ぶ個別学習(Independent Study)も必修です。文系分野は理系分野と違い、研究室等での実験がありません。ともすれば、大学の中での居場所を作りにくい場合もあるでしょう。この問題を克服するために、個別学習(Independent Study)では週に一回、プログラム生全員が一堂に会するゼミナールの時間を設けています。ここでは、IPLAプログラム専任の教員の下で、各々の学習の進捗を発表しあい、プレゼンテーションの方法を学びます。その成果は最終的に、年に2回行われる学習発表会で披露することとなります。先日、中間発表会が行われましたが、その内容は多岐にわたり、大変興味深いものでした。
 IPLAプログラム生同士はもちろん、日本人学生との交流の機会が多いのも、このプログラムの特徴です。留学生支援ボランティアサークル「IPLANET」(アイプラネット)の学生が、様々なサポート、交流イベントの企画を行っています。去る1月22日に開催された「グローバル紅白歌合戦」は、世界各国の民族衣装披露や歌、踊りのパフォーマンスで大変盛り上がり、大盛況のうちに幕を閉じました。学業上での交流のみならず、このような文化的活動の場もあり、そこで出会いはぐくんだ友情は、得難いものになることでしょう。日本人学生にとっても、異文化に触れることにより、大きな成長が望めます。
 IPLAプログラムは、1年間または6カ月と限られた時間となっていますが、ここで得た経験が、プログラム生の将来にとって有意義なものになることを願ってやみません。また、このIPLAプログラムが、今後の本学における交換留学の発展に貢献出来るものと、確信しています。

IPLA2010参加学生の声

ノボシビルスク国立大学(ロシア) サヴィンコワ・ユリヤ

[写真] サヴィンコワ・ユリヤ温かな第二の故郷、仙台

 仙台に到着した日、私は少し心配していました。日本の社会についてあまり知識がないままに、異国での違う文化の中にいたからです。でもサポートチームのおかげでその不安も数日中になくなり、私たちIPLA学生は新しい環境に慣れることができました。中心的なサポートグループはIPLANETですが、@homeのみなさんにもお世話になりました。メンバーがいろいろなイベントを開催してくれたので、日本での生活を知り、他の留学生や日本人学生と交流することができました。1週間後には、仙台と東北大学での生活が快適に感じられるようになりました。
 東北大学の先生方は国際色豊かで豊富な経験をお持ちなので、どのクラスでも学ぶことがたくさんあります。第一に、先生の多くは授業のテーマを実体験と結びつけているので、現実問題として理解しやすく、そのテーマについてより深く学ぶことができます。また、英語が母語の学生ばかりではないので、たまに問題もありますが、先生方が学生の英語力を把握し丁寧で辛抱強く説明してくれるので安心できます。どの先生も親しみやすく、授業以外で必要なときに相談したりアドバイスをいただいたりできます。私も何度か相談しましたが、話しやすい雰囲気で自分の教養の幅を広げるきっかけとなったと思います。
 IPLA学生と交流がある学生はみなとてもフレンドリーでやさしく、頼りになることが一番うれしいことでした。IPLA学生の最大の利点のひとつは大きな国際的なイベントに参加できることで、様々な文化的背景を持つ人が企画しチームとして活動することです。1月22日に「グローバル紅白歌合戦」が開催されましたが、メンバー全員で歌以外にも出し物を企画して規模の大きなイベントになりました。私はそのうち2つに関わり、どちらも大成功でした。人々のエネルギーが感じられ、ひとつの世界となってみんなで協力できたことを実感しました。
 この4カ月間で仙台と東北大学は私の第二の故郷になりました。留学生と先生方に囲まれたここでの生活のとても満足しています。